その16回目

「三岔口」(邦題:ディバージェンス -運命の交差点-)
2003.10.16~香港公開
(東京)六本木シネマート 2006.4.22~
(大阪)シネマート心斎橋  2006.6.3~
(札幌)スガイシネプレックス札幌劇場  2006.6月予定
(名古屋)名古屋シネマスコーレ 2006.7月予定

~HORA奥様劇場~

海に向かう道をひた走る車。ロン毛の男が運転するその車の助手席にはわけありげな女。
「久しぶりのドライブですね。お望みの海に着きましたよ。何をして遊びましょうか?」
助手席の女振り向く。
「奥さん、ヨダレが・・・。何を考えているのか大体想像はつきますが、それは夜まで我慢してください。で、
何して遊びます?」
白い砂浜。走る男。息を切らしながら女の元に戻ってくる。手には棒きれ。
「よーし、よし。」
足元に倒れこむ男のあごをなでる女。
「犬はね、ここをなでると喜ぶんですよ。よーし、よし。」
「はぁー、はぁー、奥さん、ムツゴロウごっこ、もう、やめましょう。楽しいのは奥さんだけじゃないですか。」
「そうね。じゃあ、もうする?」
「って、奥さん、こんなところで僕のズボン下ろさないでくださいよ!あれ?奥さん携帯で何見てるんですか?」
男、女から携帯を取り上げる。
「誰ですか?!この白い歯の男は!」
赤くなる女。
「なに赤くなってるんですか?!ええ?もしかして、僕より他に・・・。」
「わかるぅ?」
「なに猫なで声出してるんですか。誰なんですか、こいつは!」
「怒らないの。よく見て、今大ブームのヨロン様よ。」
「ヨロン?あの、与論島出身の「夏のレゲエ」で国民的アイドルになったヨロン?ああっ!なんで2ショット写真なんかあるんですか!」
「ファンミでご一緒したの。よく撮れてるでしょ?まだいっぱいあるわよ?見る?」
「見ませんよ!」
男、携帯を女につき返す。
「やだ、怒ってるんだ。」
「怒ってますよ、当然しょう。僕と一緒にいながら他の男との写真眺めてるなんて。どおりであんなに遠くに棒を投げたわけだ。僕が一生懸命走っている間にそんなの眺めてたんですね!」
「そんなに怒らないの。あなたもそんなに怒る事があるのね。」
「ありますよ!僕にだってそんな一面はあるんです!」
「ステキ。見直しちゃった。」
「えへへ。って、奥さん、どこ見てステキって言ってるんですか!」
男、前を押さえる。
「じゃ、もう1回走っておいで!」
女、棒切れを遠くに投げる。
「は~い!」
走り出す男。
「ハッ、しまった、いつもの調子で返事しちゃったよ。トホホ。奥しゃ~ん、写真と浮気しないでね~。」
こんなに見るとは思わなかったわ、「ディバージェンス」。映画祭入れて4回ですよ。スクリーンで4回って凄くない?もう、お腹いっぱいよ、アーロンの演技で。(笑)台湾金馬奨主演男優賞受賞の演技ですから。3回目にはあまりにも凄くて出てくるだけで笑いそうになっちゃったわ。(こらこら)ごめんなさいね、アーロンファンの皆様。でも、ここはイー迷サイトですから大目に見てね。(^_-)ー☆見れば見るほど思うんだけど、イーは主演じゃないよね~。というか、隠れキャラなんだから主演扱いしちゃいけなかったのよ、実は。だって、サスペンスですよ?イーが主演で出てるのにただの弁護士役じゃないだろうって、見る前からわかっちゃうじゃないですか。それだけでサスペンスとしての面白み半減よね。でもまあ、アンジェリカ演じるフォンとエイミーに関わった男達の話というのがこの映画の軸ですからね、仕方ありません。主演としときましょう。(渋々かよ)
3人主演のはずなんだけど、やはりこの人ダントツのアーロン国王。この映画でこの人の事語らなかったら他に語るとこないじゃん。何せ最初っから最後まで全力の演技。人間恐怖が最高潮になると笑っちゃうように、人の演技が過剰すぎると笑っちゃうものなのね。アーロンが熱演すればする程突込みどころ満載。突然いなくなってしまった恋人の事が常に頭から離れないアーロン刑事。そりゃそうでしょ、子供もできて、さあ結婚だ、と幸せいっぱいだったのに何も聞かされずに去られてしまったならば、誰だって「何で?どうして?俺のどこが嫌になったの?まだ分かりもしないのに息子だと決め付けたのがいけなかったの?回転木馬の上ではしゃぎすぎちゃったから?」とあれこれ考えてしまうものですよ。本当にあの回転木馬のシーンははしゃいでたよな。幸せすぎて周りが見えないバカップルを見事に演じてたアーロンに乾杯!そんな事はおいといて、いくら思い悩んだとしても、アーロン刑事かなり考えすぎてて、見る女見る雑誌、なんでもフォンに見えちゃう。かなりヤバイ。初っ端からどっかイっちゃってる目が怖いっス。そしてすぐに泣いてしまう情緒不安定さ。こんな人を刑事にしておいていいのだろうか。(ーー;)
案の定、「お前は風紀を乱す!」と上司に怒られっちまいます。やっぱ犯人追ったにしては一般車巻き込みすぎたあげく、市場爆破だもの。走る兵器かアーロン刑事。そして逆ギレしたアーロン刑事。拳銃と手帳を叩き返して車を飛ばす飛ばす。さすが車好きなだけのことはある。F1レーサー並みの腕前。飛ばしながら怒りを発散する演技の凄い事。凄いんだけど、あんなに飛ばしていてもまだ足りないとばかりに体を前にゴンゴンゆすってるのを見たときゃ、凄すぎて笑っちゃったわよ。もっと凄かったのは、殺し屋ダニエルからフォンは死んだと聞かされた時よね。殺し屋の持ってきたイー弁護士の情報には目もくれないくせして、彼女が死んだという言葉だけは信じちゃうんだもの。もう、脳みそどこを切ってもフォンだらけ。ブレーキが外れて車が坂道逆送するところは、ああ~~ごめんなさい、もうこれ以上のコメントは・・・腹が痛い。(笑)といいつつ後一つ。後半イーとのアクションシーン。ワイヤーで首をくくられそうになって思わず手でワイヤー防いだんだけど、その手ごとキューッと引っ張られてもんだからまるで後首つままれて持ち上げられた猫のよう。「ふぎゃ!」って見えて、1度目は笑わなかったんだけど、すみません、2度目は吹き出してしまいました。もう、全然耐えられ
なかったです。「ふぎゃ!」だもん。(爆笑)唯一笑えなかったのはラストシーン。事件が解決し、サム・リー刑事と語らうアーロン刑事。その口元にはうっすらと笑みが。彼は何故笑ってるんでしょうかね。夫を助けようとひと芝居うったエイミーの「この10年私も苦しんだのよ」という言葉を信じたのでしょうか。だと
した怖いわ~。だって、エイミーとフォンは別人ですよ。そんな事、刑事なんだから戸籍でもなんでも調べりゃわかるでしょうに。すっかりエイミーをフォンと思い込んだ風なアーロン刑事のその後が気になるわ。エイミーをつけまわしそう。なんだかそっから先サスペンスが待ってるように思ったのは私だけでしょうか
。ちなみに、私はイーが取材陣に話す前からエイミーとフォンは別人だと分かってました。だてに大画面で4回も見てませんよ。例のバックミラーにぶら下げられたキーホルダー、あれがヒント。シーンによって違うんですよ。よーく見てね。
ああ、国王様一人でこんなに書いちゃった。(笑)はじめはどの役になるかわからなかったというイー。もし刑事役だったらどうなってたんでしょうね。やっぱりアーロンのような演技を求められちゃったのかしら?いやいや、きっとアーロン様だからああいう演技なんですよ。ダニエルが演じればダニエルの刑事役が出来上
がるんだと思います。だとしたらイーはイーらしい刑事になったのかしら?恋人の死を知ってさめざめと泣くシーンも、ハンバーが食いながら泣くシーンも・・・おお、俄然見たくなってきた。(笑)でも今回、泣きの演技はアーロンに、お色気シーンはダニエルに持ってかれちゃってさあ、どうする?イー弁護士さん。その昔、インタビュー番組で「芸能人になっていなかったら弁護士。」と語ってたことがあった。その理由が口賢いから。ものの言い方がうまいってことなんだけど、当時のイーからは「単なるおしゃべり」としか取れなかった。あれから10年近くになるのかしら?歳とってとりあえず説得力ありそうな顔にはなったけどね。心配していた法廷シーンでのカツラ姿も超Cool!(んなわけないってば)黙ってればいい男を武器に、濃ゆいお顔のガーリョンと涼しいお顔で受け答え。おお、意外にイケてるぞイー弁護士。「風雲」以来のアーロン刑事とのシーンでも、「令状なんてねぇさ~」ってなオーバーアクションを冷たい視線で無視。「浮き沈みの激しい芸能界でお互い生き残って再会できるなんて」と共演の感想を語っていたイーだけど、「それはアーロンのセリフじゃないか?お前が生き残っているとは」って突っ込んじゃった私。そう、一時は「人気がピークのうちに引退したい」なんて言っていたイーなのに、こんなに立派な弁護士さんになって。母は嬉しいよ。(T.T)そんなクールな弁護士のもう一つの顔は「必殺仕事人」。ワイヤーで悪い奴を次々と殺していく姿はまさに香港版京本政樹。「スタントは使わない」が基本のイー。きっと冒頭の若者殺害シーンも自分で演じた事でしょう。手しか映らずともこだわる男。う~ん、マンダム。(古っ)そしてもう一つのこだわりが紫外線によって色が変わるメガネ。法廷から外に出たところでうっすらと色が変わっているのが見て取れます。「彼の二面性を表しているんだ」と自慢げに話していたイーだけど、「言われなきゃまるっきり気付きませんから~!残念!」(まだひっぱるか波田陽区)そして、これは外す事の出来ないシーンでございます。っつーか、これ外しちゃったら他語る所ないって言う(~_~;)アーロンとの決闘シーン。雨に濡れた二人のイイ男。戦う事に没頭してくれたおかげでイーが濡れた髪
を掻きあげてくれなくてよかった・・・とホッとする私。掻きあげてオールバックになった日にゃ「あんた誰?」状態になるだろう。(笑)「お前は誰だ!そうか、それがお前のもう一つの顔か!若作りしやがって!」「うるさい!年上のお前に言われたかないよ!」「2つしかかわんねぇじゃねーか!悔しかったら踊りの一つも踊ってみろ!」失礼しました。そんな事考えてるからこの決闘シーンで笑っちゃうのよね、自分。(とほほ)しかし、イーはこの弁護士役を「変態」と言ってましたが、変態なのはアーロン刑事の方だよね。「俺はお前を見ていたんじゃない。「彼女を見ていたんだ!」って白状しちゃってるし。単なるストーカーだったって事がバレバレ。この時点で、冷静なイー弁護士だったらまだまだ無罪になる確率高しと判断するところを、「あんたの女房は幸せなんかじゃない!」の一言で崩壊。ワイヤーでもって飛び掛ったはよかったが、そこはそれ、相手は刑事だから、あっという間に形勢逆転。反対に首締められちゃって「おえっ」(>。<)って白目までむいちゃったよ。いい男台無し。(-_-;)こういう熱演はいらんちゅに。アーロンの熱演は2度目で笑っちゃったけど、イーのは初回で大笑いしちゃったわ。ファン失格?インタビューではサスペンスにもかかわらず、1から10までしゃべっちゃったイー。しょうがない奴と思ったけど、考えてみるとイーの出番はそんだけしかないのよね。(笑)でも、話しちゃうとまずいという点からやはりこの映画の要でもあったわけです。ベニー・チャン監督が「信じてくれ」と言ってのはそういうことだったんでしょうね。
私はおちゃらけて書いてますが、この映画はイーの語るように「映画らしい映画」大型娯楽アクション映画です。アーロンとダニエルの道路を走っていくシーンはまさに圧巻。走る二人も命がけならば、その目の前で車をとめて見せる神業を披露するアクションチームも命がけ。CGでは絶対に表せないこの緊迫感はついつい席から腰が浮いてしまうほどです。アクション以外にも、楽しめるところ満載。ダニエルは若い肌を惜しげもなく披露。殺し屋なのに真っ白のブリーフで好感度UP。(なんでや)坊主頭のニン・チンが目をむくほどのチューはどんなに凄いテクなのかしらと妄想爆裂。そしてポスターはこの人とアーロン、ダニエルで撮った方がよかったのでは?と思わせる貫禄たっぷりのガーリョン。TVBの大御所。香港の船越英一郎。(とは誰も言っていない)どんどんやつれていくガーリョン迫真の演技。息子かもしれないと遺体確認した後吐き出したものをすすってしまうガーリョン。小道具さん美味しい味付けにでもしてたのか?細かい突っ込みでごめんなさい。他にもダレてる刑事役のサム・リー、アーロンの同僚ジャン・ラムがいい味出してたな。二役演じたアンジェリカは本当に頭のいい女優だと実感。
さ、最後に取っておいたのは私のお薦めEショット。なんと言ってもエイミーとの床上シーンでしょう。イーがベットに入っているというだけで奥さん赤面。(#^.^#)弁護士さんだからきっちりとパジャマをご着用かと思いきや、ランニングシャツ。おお!!(#゚.゚#)上半身さらけ出してたダニエルには奥さん赤面しちゃうけど、イーのランニングから出ている腕やらパツンパツンの胸板には鼻血が高木ブー。さすが、香港一ランニングシャツの似合う男。(誰が決めたんだよ)BGMもない二人の語らうシーンはかえって色んな妄想が浮かんできて脳みそをドロドロにしてくれます。そんなシーンの中でも一番のお気に入りは寝返りを打った妻に「あなた」と呼びかけられて返事をする弁護士イーの「ん?」きゃー!!(#>。<#)これですよ、この「ん?」よ「ん」!この「ん?」(何回もいわんでええっちゅうに)が最高~~~~~~~!!!!早くDVDで自分ちでヘッドフォンつけて堪能したい~~~。~\(>。<)/~(バタバタ)このシーンはイーの息まで聞こえて映画館だと赤面しちゃう。ああ~、ああやって腕を巻きつけて一緒に眠った事もあったよな~。ほんの数時間。だって君はいつもハードスケジュール。僕はAV見るほどヒマだったけど。今はそんな相手もいない。一人寂しくベットに入るんだ。そんなイーのために誕生日プレゼントは抱き枕にしてあげようかな。(大きなお世話だよ!)
さあ皆さん、いかがでしたでしょうか。はっきり言ってこの映画、1度見ただけでは理解できません。無意識に犯人を探しているうちに映画が終わってしまうから「あの人は誰に殺されたの?」「犯人は誰?」と1度見ただけでは答えが見つからないからなの。例えば、イー弁護士とガーリョン息子がヨットハーバーで会っていた写真を撮ったカメラマンを殺したのは誰?イー弁護士?彼は林雪から脅されるまで知らなかったんだよ。殺し方も違うしね。ダニエルとニン・チンを殺したのは誰?彼らは誰に雇われていたの?ね?1度見ただけではわからないんですよこの映画。皆さんも是非、2度3度と謎解きをしながら見てください。

Text by まさか