「幻影特攻」(ヴァーチャル・シャドー)
98年12/24~99年1/20香港公開
99年9/1~10/6日まで
東京銀座西友テアトルにてレイトショー上映中。
99年10/16~29(レイト)
10/30~11/5(モーニング)
大阪テアトル梅田にて上映予定
99年11/6~11/18
名古屋シネマスコーレにてレイトショー上映予定
(じょうがんPさん、萌さん情報ありがとう)
~HORA奥様劇場~
「奥さん、やっと決心してくれたんですね。」(女の手を握る男)
「ええ。何故かあなたの事が主人にバレてしまったの。」
「僕がバラしたんです。」
「何ですって!」
「だって、奥さんがいつまでも決心してくれないから。」
「ひどい!」
「ひどいのはそっちじゃないか。旦那にバレそうになって僕を狭いところに押し込め たり、こないだなんかベランダから落としたくせに…。」
「やだ、いじけないでよ。草むしらないで!みっともない。」
「みっともない?僕にだってみっともない所はあるんだ。奥さんは今まで僕のどこを 見ていたんです。」(女の視線が男の下半身に注がれる)
「おおい!(慌てて前を隠す)奥さん、そんなあからさまに。わかりました。奥さん の目的は、僕のこの意味なく鍛えられた体だったんですね。」
「!(^^)!ピンポーン」
「って、奥さん、僕のズボン下げないで下さいよ!わかりました。僕が優柔不断だっ たからですね。奥さん、僕のこと愛してますか?」
「もちろん。」(女、男の下半身を見ながら答える)
「だから!僕の顔を見て下さいよ!いいですか、この世で一緒になれないのなら、こ っから僕と飛び降りて、あの世で一緒になりましょう!(男、女を抱えあげる、が、 重みで崖っぷちから足を踏み外す)うわぁ!」
「きゃー!(何故か満面の笑みの女)メロドラマみた~い。」(ドッボーン)
「奥さん?あれ?いないのかな。」(バシャッと水の音)
「奥さん、お風呂?覗いちゃうぞ~。(ガラッ)ん?トドが浴槽にいる。トド飼う事 にしたの?奥さん?」(風呂場の入り口に「ヴァーチャル中」の張り紙。男足元の紙 切れを拾い読む)
「お風呂でお手軽ヴァーチャル体験。あなたの妄想を増幅させる特殊液で、さあ、夢 の国へ…。ハッ!まさか!!(浴槽を覗く)わー、トドじゃなくてスッポンポンの奥 さんじゃないか。わぁ、沈みながらニタニタしてるよ…。見なかった事にしよう…。 」(出て行こうとする男。ザバーッと水音がして立ちあがった女が男を浴槽に引きず り込む)
「わああああああ!!!!ゴボッ、ウゴッ…お、奥しゃ~ん、な、何のヴァーチャル してるんですか~。」
「ホホホ、愛の劇場「断崖絶壁編」よー。さあ、一緒に…」
「ひえぇ~、ゴボゴボゴボ…・。」
いえーい!久しぶりに映画のコーナーだぜ!さあ、今回は今話題沸騰「幻影特攻、ヴァーチャルシャドー」だ!何たって,全世界公開に先駆けての日本公開だから、ちまたじゃこの話題で持ち…持ち…。おおい!少しは話題にしてくれよ!「先駈け」の後に「極秘」がついてんじゃねえのか?秘密にすんなよ。何でレイトショーなんだよぉ。(T_T)
さあ、ストーリーをかいつまんでご説明しよう。テロリストの陰謀によってその運命 を変えられた男達の話。終わり。おい、終わりってどうよ。もうちょい説明しなくち ゃね。まだ見てない人もいるわけだから。えー、CIAが極秘で開発しているヴァーチ ャル・リアリティー・ファイター短くしてVR戦士の研究室に勤めるC.S.(松鼠(ちょ んしー)、小春)タンゴ(イーキン君)ブルー(阿藍(あらん)、ケリー)。彼等は 共に香港の孤児院で育った幼なじみ。結婚を控えたC.S.そして将来を誓い合うタンゴ とブルー。しかし、テロリスト達によるVRデータ収集の為のブルー誘拐、そしてC.S. の妻殺害により二人の男の悲劇が始まるのです。テロリストのボス、エイリアンが「 美少年の恋」でブレイクしたテレンス・イン。濃い吉川晃司、薄いマット・ディロン と言ったところでしょうか。(笑)それぞれの役名かっこ( )内は、広東語の役名 。タンゴは何でかタンゴのままでした。ああ、困った!!「そろそろ、映画の部屋を。幻影でいかがでしょう。」と大家さんからのメールに私は正直頭を抱えたのです。だって、だって、この映画イーキン君の映画の中じゃ完成度高いんだものー!!突っ込めないんだよー!!突っ込めると言ったら、「これ小春の映画じゃないの?」ってところでしょうか。ドッカーン!!地雷踏んでしまった。(>_<)
正直に言いましょう。この映画、完成度は高いんですが、香港映画のノリが好きな私 には超うす味。私のように香港映画のノリが体に染み付いてる方は、多分見終わった 後にあまりにもあっさりしすぎてて、無駄のない演出に物足りなさを感じたのではな いでしょうか。そうです、この映画は無駄がないです。映像のシャープさ、肉声を極 力押え、音楽をふんだんに使ったところ、見ごたえあるアクションシーン、テンポの 早い話の展開。今までの香港映画のどこかにある野暮ったさ、ダサいところがない。 あんまりなさ過ぎて、執拗に追ってくるC.S.から悠々と逃げるエイリアンが、高層ビ ルを空中ブランコのバトンのようなので地上までビューンと降りるシーンで、「あん なクールな顔してて、後ろ全部擦りむけてたらおかしいだろうな。」と、余計な想像 してしまったもの。そこまでして笑わなくても、自分。(~_~;)あ、でも、あそこはおかしかったな。イーキン君がステンレスの背の高い灰皿(ロビーとかによく置いてあるやつね)みたいので、倒されたところ。小春と二人エイリアンを追い詰めて、用心に用心を重ねて蹴破ったドアに飛び込んだ途端、あれでゴーンだもの。除夜の鐘じゃないんだから、突くなよ!エイリアンが逃げるのにパラグライダーに巨大扇風機を担いで空飛んでくくだりも面白いよね。結構な重装備なのに小春走りながらそれ装着するし。その後エイリアンとC.S.に追いついたけど、扇風機がなくて地上まで壁に張りつけてあるコードを引っぱがしてロープ代わりにし地上まで降り、呆気に取られてる現地エキストラに一言の断りもなくバイクにまたがって追いかけるイーキン君とかね。何か言ってもいいだろう?「借りてくぜ!」とか何とか。マンガみたいだもの、ストッて降りてバイクにまたがって、次のカットでは仮面ライダーのごとく町中走ってるし。日本で極秘(じゃないっつーに)記者会見した時に「アクションは問題ない。」って言ってたけど、小春の半分もやってないんじゃん。(笑 )もう、体力だけが売りってな感じでビル駆け上ってってるし。しかし、あんだけ高い30階はゆうにあるようなビル駆け上ったら、足ガクガクだろうな。屋上に着いた頃にはひざが笑っちゃってて、小春助けるどころでなさそうだ。さすがVR戦士。わはは。って、おいおい、結構楽しい映画だな。(笑)
ま、冗談はさて置き、イーキン君布教活動に欠かせないアイテムになるほどこの映画のイーキン君は「クール一色」。初っ端の、能天気なCIA局員からブルーを亡くして変貌する殺し屋イーキン君の二つが味わえます。
味わえると言えば、大画面ならではの詳細なるイーキン君のお体。(じゅる)右胸の傷。あったよ、確かに。左頬のくぼみと言い、肩の注射の跡と言い、ああいうのってなんかとってもセクシーよね。腹毛。大画面にどアップよ。ひょひょひょ。メガネ姿に、眉間の皺。くぅー!!たまらん。たまらんと言えば、ケリーとの噛み噛みシーン。エイリアンの元から助け出されたブルー。気の強い彼女が自分のためにVR戦士の実験台になってまで助けに来てくれたタンゴに、その嬉しさを表わすシーン。膝にもたれかかるブルーの髪に触れ静かに喜びをかみしめるタンゴ。ふと顔を上げるブルー。「どうした?」って、この時の、このブルーの鼻をちょっとつまむこれ、これ、 これよぉおお!!(*0*)(目に星状態)噛み噛みシーンそのものもいいんだけど、こ の「鼻ちょん」がたまらなくいいのさ。ブルーの「目を閉じて」で少し気恥ずかしい ような、何するんだろうって言うちょっと疑ってるように目を細めるところも可愛い 。キスするかと思われたブルーに噛まれて「あいや!」。この「あいや」が、あいや が…・あ、いやーん。何言ってんだ、あたしゃ。そして、おふざけの後のキス。シル エットで、しかも髪が顔にかかっているイーキン君の表情は全く見えないんですが、 ものすごく雰囲気が伝わってくるシーンざんす。
そしてそれと共に語らなくてはいけないのが、ブルーの死の瞬間と、その後の大泣きシーンですね。CIA本部特捜班に「危険人物」として捕らえられたタンゴ。手錠をかけられそれを長椅子にはめられてしまい、それでもブルーを捕まえようとする者達から彼女を守るべく椅子を利用しての格闘。普通だったら「動けない!」ってなるところを、長椅子を滑らして敵の足元すくったり叩いたりしてのアクションは、ジャッキーの映画にもよくあるよね。さすがプロジェクトAチーム。同じ様に捕らえられそうになったC.S.は殴られた拍子にVR戦士の副作用による凶暴性が現われ、安否を気遣い駆けつけたブルーを過って射殺してしまいます。それを見てしまったタンゴ。後ろに倒れるブルー。さっきまであんなに軽々と椅子を使って敵を倒していたのに、今ではそれがかせとなり、彼女の元へともどかしく走るタンゴ。行く手を阻んでいるスロープの手摺りに必死になってよじ登り、胸を打ち抜かれたブルーの姿を見るタンゴ。麻酔薬を打たれてその後目醒めたタンゴは、彼女の死をまざまざと思い出し、その辛さにのたうちまわります。ここまで、コーラスのみの歌が流れるだけ。叫び声も、泣き声もない。たった一言「助けてくれ」。イーキン君がヨダレだか唾だかを飛ばしてまで言ったセリフです。VCDで見た時は「辛い」「忘れたい」「苦しい」とかそういった事だろうと思ってましたが、そういった事も含めて、日本語訳では「助けてくれ」になってました。はぁー。ため息ざんす。もう、このシーンは胸が痛くなり過ぎて正視できないです、私。それでも、間に挟まるシャワーを浴びながら泣いてる背中のほくろはチェック。ほほほ。この後に続く、記憶を消されCIAの殺人部隊所属のポール・ウォンとなってからのイーキン君と、妻を殺したエイリアンへの復讐に燃えるC.Sこと小春のシーンも見逃せません。
うーん、妄想シスターズの仮面をちょっと外して言うならば、ジングル監督、C.S. とタンゴをもう少し細かく描いて欲しかったな。ラストで落ちていくC.S.の笑顔はもっと抑えて安堵の顔にした方がよかったし、洗脳されてはいてもC.S.を助けてしまうタンゴの表情を、もっと細かく演出して欲しかった。どちらの男の悲しみも、もうひと押しが足りなくて観客に届いてないような気がするんだけど…。うっほほぉーい、何か、映画評みたいだぞ。ささ、仮面を着けてっと。(^.^)
しかし、これ見る前はさ、こんなシリアスな映画とは思わなかったのよ。小春は香港で上映される前のインタビューで、「喧嘩が強くなると言うメガネを使って、イーキンと僕が大暴れする。そのメガネは脳が破壊されると言う副作用がある。(笑)」って、言ってるし、イーキン君は公開されてから「僕以外皆死んじゃう映画。」と言ってるからすっかりSFコメディだと思ってたわよ。ジングル・マ監督は「97年の返還 時の僕の気持ちを二人の役にあてて書いた」って語ってるのを読んだ日にゃ、「おい おいおい、本当に同じ映画について語ってんのか?」って、笑っちゃったし。小春の 発言はきっと公開前だからパクられるの恐れてカモフラージュで言ったんではないか と思うけど、イーキン君、あんたは何か他に言いようはなかったんかい。(~_~;)その 勢いで日本の記者の前に現れるかと思いきや、映画への夢をクールに語る男に変貌し ていたのでありました。おそるべし、鄭伊健。(笑)
まあ、とにもかくにも、この映画の反応しだいで日本への進出を考える“かも”(こ の「かも」が曲者)とイーキン君が言ったんだから、ガンガン見に行って、ドンドン 反応してあげようではありませんか!さあ、あなたも映画館へLet’s go!(ひぇ~、 ダサダサ)(~_~;)
Text by まさか