その3回目
「新英雄本色」(邦題:男達の挽歌4 香港上映1994年7月14日~26日ビデオ有)
~HORA奥様劇場~
「ね、お願い。やらせて。」
「だめだよ。」
「お尻だけなのよ?」
「だめだって。」
「ほんの少しだから。」
「出来ないよ。」
「ひどい!私のこと嫌いなのね!」
「そうじゃないよ。」
「いいえ、嫌いなのよ。ぐやじぃ~、泣いちゃうから。私が泣いたら凄いのよ!?」 「わー、泣かないで。前回で懲りたから。分かったよ、やっていいよ。でも、本当に 少しだけだからね。痛くしないでよ?」
「キャー、うれしい、うれしい。ささ、ティッシュ詰めて。」
「うごっ。」(口にティッシュを詰め込まれる男)
「あ、ごめんなさい、口に突っ込んじゃって。鼻だったわ。鼻血出るのを止めるため だもんね。はいはい。」(鼻に詰め替える女)
「ああ、いいわー。あのシーンと同じ。はい、引き寄せてぇ~。」
(仕方なく女の腕を引っ張る男)
「(ドカッ)うぐ、い・・・い・・・、おくさ・・・いた・・・うー!」
「(女聞こえず)あー、いいわー。やっぱり若くて逞しい男はいいわね。夢だったの よ、ひざに抱っこしてもらうのが。」(女、男にしがみつく)
「(ギュッ)おわっ、く、苦しいよ・・・おく、お・・・。」(もがく男)
「うちの旦那に「やって」って言ったら、「お前乗せたりしたら、石攻めの拷問受け てるようなもんだ。」って言うのよ?失礼よね。知ってる?石攻めってね、江戸時代 に口を割らせるために石を足の上に・・・」(しゃべり続ける女)
「おくさ・・・痛い、血が、血が止まってるってば、ねえ、奥さん。聞いてる?」( 必死に訴える男)
「(ピンポーンとチャイムの音)まあ、大変!あの人が帰ってきた。早く逃げて、何 やってんのよ!」
「何って・・・足が痛くて。」
「(ピンポーン)はーい!しょうがないわね。うりゃ。」
(女、男を抱えると足でサッシを開け、ベランダから男を放り投げる)
「わー!!」(落ちていく男。かろうじて木の枝に引っ掛かる)
「おくしゃん・・・本当に僕のこと愛してるのぉ~?」
お待たせ致しました。映画の部屋第3弾は初のノワールものでございます。流血、鼻血大好きな皆様が泣いて喜ぶ「男達の挽歌4」であります。
何が一番嬉しいって、これでもかってくらい流してくれる鼻血でございますわよ。 (笑)殴られて流すだけならまだしも、じっと座っててもツーっと出てくる鼻血もあ りですから。熱血アンディ・ラウ兄さんには出来ない技。イーキン君ならではのクー ルな鼻血の出し方でございます。しかし、涼しい顔で「君がセクシーだから」って鼻 血流されたら引いちゃうよね、普通。(笑)何?イーキン君なら「もうまんたい(大 丈夫)」だって?ならばあのティッシュの詰め方はどうよ。ティッシュ半分まで裂い て両端丸めて詰めるってのは香港式か?あのビラビラと前に下がってる分が邪魔だろ ーって。息吸った途端口がふさがって窒息するんじゃないの?おっと、鼻血ごときでこんなに書いちまった。本当に鼻血だけの映画と思われる。(~_~;)とりあえず、ストーリー書いときますか。
チョン(イーキン君)は香港黒社会の若きボス。情の厚さ、冷静な判断力は警察に も一目置かれているほど。ある日身に覚えの無い麻薬所持の容疑をかけられ、不本意 にも大陸へと逃亡するチョン。行きついた先で全ては兄貴分のウェイによって仕組ま れたことを知る。2年後。香港に戻ったチョンは彼の後ボスとなったタイハ(ラウ・ チンワン)と共に復讐を開始する。
うーん、こうして書いてみるとどっぷりノワールものだわー。この4は「古惑仔」のヒットについて語られる時よく引き合いに出されるのよね。同じボス役だけど4の時は貫禄が無かった。周りが先輩ばかりで伸び々演技が出来なかった、etc.でもね、内容だけ並べたら、どっちも変わんないのよね。友情、裏切り、女(仲間)との別れ(死)、復讐。イーキン君の役どころにしたって、情に厚く、黒社会に身を置きながらも正しくあろうとするところ、女に優しい。じゃ何が違うのか。
ズバリ『音楽』。「古惑仔」があたったのは音楽がよかったからと私は思う。イーキン君の登場一つとっても、「古惑仔」はリズムを取りたくなるような音楽でしょ ?ところが4は「いや~ん、昼メロ?」ってな音楽だもの。(笑)4全体、いつの時代 よって言う感じの音楽。とても90年代に作られたものとは思えない。チョンと恋人チ リ(チンミー・ヤウ)のハグハグシーンなんか、70年代の昼メロを匂わせるような曲 だわよ。「奥さん」「いや、やめてクリーニング屋さん。私は団地妻。」みたいな。 わはは、言わないか「私は団地妻」って。そんなセリフないよな。
ま、ともかく、音楽が垢抜けただけでグッと若者受けしたのが「古惑仔」成功の大 きな要因と私は思っとります。
さて、そんなダサダサ音楽(でも、はまると結構ツボ)が全体に流れる「男達の挽 歌4」の見どころ~!(大きな声で)もっちろーん、イーキン君出演作品中ハグハグ 度120%のラブシーンざんすぅ。ま、ノワールものファンの方からはブーイングきそ うですが、何と言っても私のお勧めシーンはここっす。(^O^)
「女を喜ばせる言葉を知らない人ね。」
そうなのよ、そういう不器用な男なのよ、チョンちゃんは。
「何て言えばいいか・・。でも、これだけは信じてくれ。君だけを愛している。」
いやーん、それが聞きたかったのよ~。
そんでもってガバッと抱きつくチリ姉さん。ガシッと受け止めるチョンちゃん。回る 回る。回っているのは二人なの?カメラなの?それとも私?(@_@)回りながらキスし まくるしまくる。そんでもって脱がせる脱がせる。何て器用なのこの二人は。だんだ ん激しくなって、チョンちゃんの上半身があらわに!キャー!!皆さん、チェックよ チェック。背中のほくろがなんてセクシーなの~。チンミーもブラジャー一つでがん ばるがんばる。キスがエスカレートしてって、何だか噛み付いてるみたいだぞ。(笑 )ダイターン(大胆)チリ姉さん、チョンちゃんのお腹までチューしちゃって。腹毛 でクシャミ出るぞ。ああーん、続きが見たいー、と思ってたらブルドックのカット。 犬飼ってたのね、チリ姉さん。(-_-)
見どころその2!ラストにかけてのウェイ兄貴との戦い。警察のトイレで殺したと思ったのも束の間「はははは・・・」といかにも悪い奴ーってな笑いと共に立ち上が るウェイ兄貴。また人の鼻つまむなってーの!初期鼻腔癌が治ったばかっかりなんだ ぞ!しかし、チョンちゃん負けておりません。鈍くさいサイモン刑事(マイケル・ウ ォン)から銃を受け取り追う追う。車に対して走って追っかけるんだもの。まあ、渋 滞しそうな香港の街ならOKか?さあ、追いつめたところで1対1の勝負。徹甲弾で肩を 打ち抜かれ早くもピンチのチョンちゃん。そこへ助けに来たサイモンバイクで登場。 ドカーン!!って、やられてるよ。(~_~)お前なー、助けに来たんちゃうんかい!徹 甲弾銃を失っても笑いながら迫り来るウェイ兄貴。お得意の足蹴りを見せ付けるかの ようにドラム缶をゴンゴン蹴り倒す。向こう脛も鍛えると痛くないのか?そんな足で 蹴られたら大変。逃げてチョンちゃん!の声もむなしく、顔面に食らってしまいます 。いやーん、お顔がー。でも大丈夫。この足蹴りアップシーンですが、こういう時の 足は腕でやるそうです。足の形をしたものを腕につけて顔に当てるらしい。足加減は 出来なくとも手加減なら出来ると言うことですな。お後がよろしいようで。(^^)
そしてあろう事か、ウェイ兄貴必殺空中蹴り!!全然リアリティ無いのに、すごー い、って感動すらしてしまう。こんなところでもワイヤーワーク。おそるべし香港映 画。
その3。チョイ役な人達。入院したタイハの隣のベットにいるじっちゃん。「悪党、悪党」。もう、マジじゃないかと思うくらいおかしい。香港映画のスタッフって、ど っから連れて来たの?と思うような人使うよね。同じくらいリアルだったのがチリに ヤクを渡す男。(爆)あやしい、超あやしい。(笑)それと、チョイ役ではない、れ っきとした助演女優のハーマイちゃん。可愛いこの子の泣きシーンは、きっとこわー いスタッフがいて泣かしたんだろうな。かわいそー、スタッフ。(どっちに同情して んだ)
その4。その他おもしろ突っ込みどころ。タイハを助けるためにやってきた弁護士が、鞄の中からフカヒレスープを取り出すと ころ。あの鞄にあの幅の容器は入らんだろう。あんたはドラえもんか。ウェイ兄貴を 囲んでの宴会。日本レストランなんだけど、従業員の制服が浴衣。しかもインナーに Tシャツ。バックに流れる琴ミュージック。日本レストラン=琴ミュージックは外国 映画の定番?今時日本でも正月以外に聞かないと言うのに。そして、言葉があんなに 違う親子がいていいのかと思うサイモン親子。おとんはバリバリの広東語で、息子は 小さい時にイギリスに奉公にでも出されてたのかと思うほどの英語なまりな広東語。
ラストは私のイチ押しワンカット。大陸に逃げたチョンちゃん。宿のベットで吸う煙草シーン。ボンヤリ空中を見詰める 横顔、半開きの口元がいいわー。ハグハグシーンよりHに見えるのは私だけ?あなた も今すぐチェックよ!うぉぉ、書く前はノワールものだからな、書けるかしらと思っていたのに、出る出る 。(笑)何度も見ているうちにいたぶられイーキン君がつぼになってきたわ。何にせ よ、文字通り出血大サービスなこの映画。ぜひ、もう一度ご覧ください!
Text by まさか